森達也さん

9月の集中講義にドキュメンタリー作家の森達也さんが来ました。


彼は、『A』や『下山事件』、『東京番外地』など、


数々のドキュメンタリーや映画を著しています。


僕は最近彼の本ばかりを読み漁っています。


いろんな本がありますが、


共通する軸があります。


それは「真実は一つではない」ということ。


つまり、ある事柄は多くの視点から見ることができ、


どの視点からも真実が見えるという。


わかりやすい例でいえば、太平洋戦争に対する解釈。


ある視点からは、日本から侵略され大きな損害を被ったといえる。


ほかの視点からは、日本はアジア諸国を欧米の支配から解放し、


共栄圏をつくってアジアに平和をもたらそうとしたといえる。


さらにいえば、兵士は日本国民を守るために太平洋に出兵したともいえる。


いまあげた例はどれも間違いとはいえない。


なぜなら、どれも嘘ではなく真実だからである。


真実は事実ではなく、さらに一つではない。


事実は「太平洋戦争が起きた」とか「多くの人間が犠牲になった」ということだけで、


それを主観を持って解釈すると、自分の中には真実が現れる。


わかりやすく言うと、事実は主観を一切排したもので、


真実は主観によって現れるもの。


けど、僕たちは頻繁に事実と真実を一緒くたにしてしまう。


その結果自分の考える真実が唯一無二の事実であると勘違いする。


今後は一つの事柄について、真実と事実をしっかりとわけ、


さらに自分の考え以外のものも嘘ではなく真実であると認識できるようにしよう。